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アジレント・テクノロジー(株)
LSG、LC LC/MSアプリケーションGr.
熊谷 浩樹

 私は20年以上、HPLCのテクニカルサポートやアプリケーション開発に従事しています。お客さんの分析条件を開発したり、自社製品の特長を生かしたアプリケーションを開発したりするのが主な仕事で、HPLC分析のコンサルティングも行います。クロマトグラフィー全般の基礎知識やHPLCに特有の基礎知識は、仕事を通じてそれが必要とされるたびに覚えてきました。年数を重ねるうちに一通りの基礎知識や経験に基づくノウハウなどを身につけることができ、偉そうに人に教えたりすることもあります。
 LC分析士の資格試験は、HPLCを生活の糧にしている者としてオーソライズされた資格の一つくらいはあってもいいだろうという気持ちから受験しました。日本分析化学会の液体クロマトグラフィー研究懇談会の運営委員には、必須の資格になったということもありました。試験の感想は『専門的な問題より基礎の問題が難しい』でした。これは、私だけでなく受験された多くの方が、そう感じられているのではないでしょうか。昨年、数年ぶりに分析士試験(LC/MS分析士二段)を受験しましたが、やはり基礎の問題に苦戦しました。
電気陰性度なんて、何年ぶりに見る単語だろう?
水素イオン濃度からpHを求めたのはいったい何十年前だ?
LCにフォーカスした資格なのだから一般化学の問題は不要では? という考えもあると思います。
HPLCを使う仕事をしていれば日々の業務を通じて、ノウハウは身についていきます。しかし、ノウハウのバックグラウンドにあるもの、クロマトグラフィーの基礎や分析化学、化学全般の基礎知識は意識して勉強しないとなかなか身に付かないものだと思います。クロマトグラフィーの基礎理論はともかく、分析化学や化学一般の基礎知識が目の前の分析条件開発に役立つのか、と問われれば無条件で“Yes”とは言えません。しかし、実験の進め方に行き詰ったときや結果の解釈に悩んでいるとき、あるいは新奇性のあるアプリケーションを開発するときなどに役に立つのが、こういう基礎知識ではないかと思います。
 基礎知識を習得しようと思い立ってもどの分野を勉強しようか迷ってしまいますが、分析士試験の問題は良いトリガーになると思います。

(2016年3月14日 記)

プロフィール

熊谷浩樹 Hiroki Kumagai  LC分析士三段、LC/MS分析二段
上智大学大学院理工学研究科化学専攻 修了
山梨大学大学院工学研究科博士後期課程 修了(工学博士)
1982年4月横河電機製作所入社、2007年よりアジレント・テクノロジー
現在はHPLCの技術サポート、アプリケーション開発に従事
趣味 犬の散歩、音楽鑑賞

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