LC科学遺産認定

液体クロマトグラフィー(LC)科学遺産認定記録

第1号(2018年)
高速液体クロマトグラフLC-10Aシリーズ
株式会社島津製作所分析計測事業部
(推薦者:三上博久)
第2号(2019年)
HP/Agilent 1100シリーズHPLC
アジレント・テクノロジー株式会社
(推薦者:熊谷浩樹)
第3号(2020年)
835形日立高速アミノ酸分析計
株式会社日立ハイテクサイエンス
(推薦者:清水克敏)
第4号(2021年)
超純水製造装置 Milli-Q Gradient
メルク株式会社
(推薦者:石井直恵)
第5号(2022年)
高速液体クロマトグラフ TRI ROTAR シリーズ
日本分光株式会社
(推薦者:寺田明孝)
第6号(2023年)
新規エンドキャッピング技法:シラノール基の脱水縮合によるシロキサン結合化
長江徳和
(推薦者:長江徳和)

2024年度


 LC研究懇談会(LC懇)会員で、LC科学遺産認定候補の推薦を希望される方は、下記の規程(抜粋)及びLC懇ホームページを参照の上、2024年8月末日迄に推薦書類を提出先にお送り下さい。なお、認定が決定されたLC科学遺産については、第30回LC & LC/MS テクノプラザ(2025年1月を予定)において、当事者から申請内容の概要を発表若しくは展示して戴くと同時に、LC懇の電子ジャーナル「LCとLC/MSの知恵」(通巻第9号、2024年12月15日発行予定)への投稿を行って戴きます。

第2条 「液体クロマトグラフィー科学遺産」とは、日本における液体クロマトグラフィー(LC)の発展にとって、歴史的な観点から顕著な貢献があったと認められるものを指す。
2 「液体クロマトグラフィー科学遺産」は、年度ごとに1件以内を認定する。
3 装置・器具類においては、その動作原理が日本初若しくはそれに準じたものである事、又はその性能が従来のものより格段に優れている事を要する。
4 技術・方法においては、従来のものより効率、再現性、操作性などが格段に優れている事を要する。
5 無形遺産については、当該分野の維持・発展において顕著な社会的或いは歴史的貢献と認定されるもの。

推薦書類
A4判スペースに横書きで記入した以下の書類(各1通)を、1ファイルに纏めたもの。
①推薦理由書(会員番号明記)
② LC科学遺産候補の名称(40字以内)とその概要
③ LC科学遺産所有者名
④その他、適当と思われる資料(1件)を提出しても良い。
提出先
LC科学遺産認定委員会
電子メールアドレス:nakamura@jsac.or.jp

2023年度


 (公社)日本分析化学会液体クロマトグラフィー研究懇談会(LC懇)は、2018年度より「液体クロマトグラフィー科学遺産」の認定事業を開始し、6年目の本年は8月末日を期限として推薦公募を行った。期日までに提出された複数の推薦書につき、2023年液体クロマトグラフィー科学遺産認定委員会(9月5日)で審議した結果、長江徳和氏(株式会社クロマニックテクノロジーズ)推薦の「新規エンドキャッピング技法:シラノール基の脱水縮合によるシロキサン結合化」(所有者:長江徳和氏)を液体クロマトグラフィー科学遺産第6号候補として選出した。2023年度LC懇第6回拡大運営委員会(9月20日)において、認定委員会委員長より上申された上記結果を審議し、これを承認した。「液体クロマトグラフィー科学遺産」とは、その認定に関する規定第2条に、「日本における液体クロマトグラフィーの発展にとって、歴史的な観点から顕著な貢献があったと認められるものを指す」と定義されている。認定第6号となった「新規エンドキャッピング技法:シラノール基の脱水縮合によるシロキサン結合化」の認定理由の概要を以下に示す。
 長江徳和氏(会員番号LC1A01006)が開発したエンドキャッピング技法は、一次シリル化後に行う二次シリル化とは異なる。即ち、通例はC18などの官能基をシリカゲルに結合(一次シリル化)後、シリカ表面に残存するシラノール基に嵩の小さいトリメチルシリル基などを結合させる事(二次シリル化)が主流である。これに対して、長江氏は隣接した残存シラノール基同士を脱水縮合させ、シロキサン結合(Si-O-Si)に変換させる事により残存シラノール基を減らし(図1)、シラノール基の所謂二次効果による分離への悪影響を低減させる事を特徴としている。従来は、残存シラノール基の二次効果を低減させる目的でアルキル基の内部に極性基を埋め込んだり、シリカ表面にプラスのチャージを加えたりする技法も提案されて来たが、シラノール基の数を減らしている訳では無かった。長江氏が考案したシロキサン化による残存シラノール基の減少策は、二次シリル化によるエンドキャッピングではないが、残存シラノール基を減らす事には変わりが無い。又、この技法により、シラノール基が十分水和していれば、塩基性化合物はシラノール基とのイオン交換により保持は大きく成るが、テーリングを起こさない事も判明した。従来のエンドキャッピングでは、エンドキャッピング後も1/3~1/2はシラノール基がシリカ表面に残っていると言われているが、このシロキサン化を一緒に行えば、更に残存シラノール基を削減出来、シリカ表面の疎水性が上がる。その結果、水分子がシリカ表面に近付き難く成り、加水分解が起こり難く成る為、耐久性は更に上がる事も判明した。
 長江氏が考案したシラノール基のシロキサン化を行った製品は、2007年7月に発売開始され、嵩の小さいシリル化試薬による従来のエンドキャッピングと同時にこのシロキサン化を行った製品は2008年9月に発売開始された。シラノール基の脱水縮合によるシロキサン結合及びこれを含むエンドキャッピング技法は決して古い技法ではないが、今まで提唱されて来なかった新たな考え方によるエンドキャッピング技法である。この技法により製品化されたカラムは、全世界で多くのHPLCカラムメーカーから販売されており、現在28のブランドが市場に投入されている。
 以上、概説したユニークなエンドキャッピング技法は、HPLCにおけるカラムテクノロジーとして画期的であり、その実用性と歴史的な価値の大きさは正しく液体クロマトグラフィー科学遺産に値するものと認定された。

      図1 隣接したシラノール基の脱水によるシロキサン化
 なお、認定第6号に関する詳細は、LC研究懇談会の電子ジャーナル「LCとLC/MSの知恵」第7号(2023年12月15日発行予定)に掲載し、認定講演と表彰は第29回LC & LC/MSテクノプラザの初日(2024年1月18日、横浜市金沢産業振興センター)に行う予定である。又、2023年の認定委員会委員は11名であるが、認定作業に当たったのは以下の9名である(◎印:委員長):伊藤誠治(東ソー)、榎本幹司(栗田工業)、岡橋美貴子(臨床検査基準測定機構)、橘田 規(日本食品検査)、熊谷浩樹(アジレント・テクノロジー)、竹澤正明(東レリサーチセンター)、◎中村 洋(東京理科大学)、西岡亮太(住化分析センター)、三上博久(島津総合サービス)。

[液体クロマトグラフィー研究懇談会・委員長 中村 洋]


LC研究懇談会会員で、LC科学遺産候補の推薦を希望される方は、下記の規程(抜粋)及びLC研究懇談会ホームページを参照の上、2023年8月末日迄に推薦資料を提出先にお送り下さい。なお、認定が決定されたLC科学遺産については、LC懇の電子ジャーナル「LCとLC/MSの知恵」(通巻第7号)への投稿と共に、第29回LC & LC/MS テクノプラザ(2024年1月を予定)において申請内容の概要を講演して戴きます。

第2条 「液体クロマトグラフィー科学遺産」とは、日本における液体
    クロマグラフィー(LC)の発展にとって、歴史的な観点から
    顕著な貢献があったと認められるものを指す。
2 「液体クロマトグラフィー科学遺産」は、年度ごとに1件以内を認定
  する。
3 装置・器具類においては、その動作原理が日本初若しくはそれに準じ
  たものである事、又はその性能が従来のものより格段に優れている
  事を要する。
4 技術・方法においては、従来のものより効率、再現性、操作性などが
  格段に優れている事を要する。

推薦資料
A4判スペースに横書きで記入した以下のもの(各1通)。
① 推薦理由書(会員番号明記)、② LC科学遺産候補の名称(40字以内)とその概要、③ LC科学遺産所有者名、④その他、適当と思われる資料(1件)を提出しても良い。
提出先
LC科学遺産認定委員会
(電子メールアドレス:nakamura@jsac.or.jp

2022年度


(公社)日本分析化学会液体クロマトグラフィー研究懇談会(LC懇)は、2018年度より「液体クロマトグラフィー科学遺産」の認定事業を開始し、5年目の本年は8月末日を期限として推薦公募を行った。期日までに提出された複数の推薦書につき、2022年液体クロマトグラフィー科学遺産認定委員会(9月12日)で審議した結果、寺田明孝氏(日本分光株式会社)推薦の「高速液体クロマトグラフ TRI ROTAR シリーズ」(所有者:日本分光株式会社)を液体クロマトグラフィー科学遺産第5号候補として選出した。2022年度LC懇第6回拡大運営委員会(9月29日)において、認定委員会委員長より上申された上記結果を審議し、これを承認した。
 「液体クロマトグラフィー科学遺産」とは、その認定に関する規定第2条に、「日本における液体クロマトグラフィーの発展にとって、歴史的な観点から顕著な貢献があったと認められるものを指す」と定義されている。認定第5号となった「高速液体クロマトグラフ TRI ROTAR シリーズ」の認定理由の概要を以下に示す。
 高速液体クロマトグラフ TRI ROTARシリーズは、1976 年に日本分光工業株式会社(現日本分光株式会社)が上市した、世界初のトリプルヘッドレシプロ型の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)用ポンプである。即ち、小容量(50 µL)の 3つのポンプヘッドを120 度角に配置する事によって、斜板カムの回転を利用した一駆動系というシンプルな作動による送液を可能にした特徴をもつ(図1参照)。しかも、吸引と吐出を三相交流の様に常時且つ同時に行う事が出来る為、常に途切れる事無く吸引と吐出が行える事から、高い精度の送液を可能とした。当時はシリンジ型ポンプからレシプロ型ポンプに移行し始める潮流の中にあり、上記TRI ROTAR はトリプルヘッドという画期的でユニークな発想と高い技術レベルによって開発されたものである。その性能は、高い定流量性能と低脈流及び最大の特長である、連続吸引、連続吐出を同じ波形で行える無限送液を可能としており、世界的な分析機器メーカー・デュポン社へ OEM 供給する等、世界に日本のHPLC用ポンプの技術の高さを示した。その後、TRI ROTAR-II(1979 年)、コンピューター制御の TRI ROTAR-III(1980 年)、これらのポンプを組み込んだシステムである TRI ROTAR SR-1(1982 年)及び TRI ROTAR SR-2(1982 年)を経て、更に小型化・省スペースを図ったTRI ROTAR-V(1983年)、TRI ROTAR-VI(1984 年)の上市へと続き、その技術を継承・発展させた。1982 年には、セミミクロ HPLC 用として、TRI ROTAR と同じ 3 ヘッドを装備した FAMILIC-300 が上市されたが、本製品は米国工業技術専門紙のインダストリアル・リサーチ・アンド・デベロップメント誌が最先端技術と製品を表彰する技術賞の一つである I・R 100 の受賞に輝いた。
 この種の動作原理を利用したポンプとしてはTRI ROTAR が世界初であり、レシプロ型ポンプとしても従来のものより性能が格段に優れていた。シリーズ最終機である TRI ROTAR-VI においては、流量正確さとして、0.5 mL/min 以上では設定値の±1%、0.5 mL/min 以下では±0.008 mL/min、流量精密さとして、±0.5%又は±0.003 mL/min のうち大きい方、という性能をもち、高速液体クロマトグラフの発展に大きく貢献した。更に、シンプルな駆動系による高圧送液を実現させた事から、粒子径の小さな充塡剤カラム、内径の細いカラムを使用したセミミクロ高速液体クロマトグラフへ発展させていく技術にも貢献した。


図1 TRI ROTAR Vの送液、吸引パターン

以上、概説したユニークな駆動原理とその歴史的な価値は、正しく液体クロマトグラフィー科学遺産に値するものと認定された。
 なお、認定作業に当たったのは、以下の10名である(◎印:委員長):伊藤誠治(東ソー)、榎本幹司(栗田工業)、大塚克弘(ムラタ計測器サービス)、橘田 規(日本食品検査)、熊谷浩樹(アジレント・テクノロジー)、小林宏資(信和化工)、竹澤正明(東レリサーチセンター)、◎中村 洋(東京理科大学)、西岡亮太(住化分析センター)、三上博久(島津総合サービス)。

液体クロマトグラフィー研究懇談会・委員長 中村 洋


LC研究懇談会会員で、LC科学遺産候補の推薦を希望される方は、下記の規程(抜粋)及びLC研究懇談会ホームページを参照の上、2022年8月末日迄に推薦書類を提出先にお送り下さい。なお、認定が決定されたLC科学遺産については、第28回LC & LC/MS テクノプラザ(2023年1月を予定)において、当事者から申請内容の概要を発表若しくは展示して戴くと同時に、LC懇の電子ジャーナル「LCとLC/MSの知恵」への投稿を行って戴きます。

第2条「液体クロマトグラフィー科学遺産」とは、日本における液体クロマトグラフィー(LC)の発展にとって、歴史的な観点から顕著な貢献があったと認められるものを指す。
 
2「液体クロマトグラフィー科学遺産」は、年度ごとに1件以内を認定する。
 
3装置・器具類においては、その動作原理が日本初若しくはそれに準じたものである事、又はその性能が従来のものより格段に優れている事を要する。
 
4技術・方法においては、従来のものより効率、再現性、操作性などが格段に優れている事を要する。

推薦書類
A4判スペースに横書きで記入した以下の書類(各1通)。
① 推薦理由書(会員番号明記)、② LC科学遺産候補の名称(40字以内)とその概要、③ LC科学遺産所有者名、④その他、適当と思われる資料(1件)を提出しても良い。
提出先
LC科学遺産認定委員会
(電子メールアドレス:nakamura@jsac.or.jp

2021年度


(公社)日本分析化学会液体クロマトグラフィー研究懇談会(LC懇)は、2018年度より「液体クロマトグラフィー科学遺産」の認定事業を開始し、4年目の本年は8月末日を期限として推薦公募を行った。期日までに提出された推薦書を基に、2021年液体クロマトグラフィー科学遺産認定委員会(9月17日)で審議した結果、石井直恵氏(メルク株式会社)推薦の「超純水製造装置 Milli-Q Gradient」(所有者:メルク株式会社)を液体クロマトグラフィー科学遺産第4号候補として選出した。2021年度LC懇第6回運営委員会(9月28日)において、認定委員会委員長より上申された上記結果を審議した結果、これを承認した。

 「液体クロマトグラフィー科学遺産」とは、その認定に関する規定第2条に、「日本における液体クロマトグラフィーの発展にとって、歴史的な観点から顕著な貢献があったと認められるものを指す」と定義されている。認定第4号となった「超純水製造装置 Milli-Q Gradient」の認定理由の概要を以下に示す。

 超純水はHPLCの移動相や試料調製など、クロマトグラフィー分析や化学実験などに広く利用されているのみならず、高感度分析には不可欠の素材である。超純水の水質、特に有機物濃度は高感度分析における感度やHPLC分析の質に影響する事が知られている。超純水装置Milli-Q Gradientは、日本ミリポア株式会社(現メルク株式会社)から1996年に上市された。それ迄は、超純水の水質管理には無機イオン量を測定する比抵抗計が主に使用されており、HPLC等に使用する水質の良否の確認には、超純水製造装置では判断出来なかった為、HPLCクロマトグラムを測定し、不純物ピークの有無を確認する必要が有った。又、一部の超純水製造装置では、有機物量のモニターに全有機炭素(total organic carbon, TOC)を利用する方式もあったが、分解能はおよそ5 ppbで精度も低く、超純水のHPLCへの適用可否の判断をする為には不十分であった。1996年に上市された超純水製造装置Milli-Q Gradientは、有機物をUVランプ(紫外線)で酸化分解し、導電率測定で有機物量を計測するTOC計を搭載したものであった。このTOC計による測定値は、従来の燃焼触媒酸化方式TOC計等との値とよく一致し、感度は1 ppbで精度も高く画期的な性能であった。Milli-Q Gradientの一つ前のモデルのMilli-Q SP TOCには、簡易的にTOCをモニターする機能が付与されていたが、予測式で精度も高くない事から、表示は「0-5 ppb」「5-10 ppb」「10-15 ppb」など5 ppb刻みのアナログ方式であった。Milli-Q GradientではTOC測定を予測式から、TOC計の搭載に変更する事で水質管理機能を大きく飛躍させた。更に、Milli-Q GradientのTOC計はGxP管理下で要求されるキャリブレーションにも対応可能であり、精度管理の向上にも寄与している。この様な特性を有するMilli-Q Gradientには、HPLC試験に依らずとも、採水時に超純水の水質が確認出来る利点が有り、多くのHPLCユーザーに信頼性と利便性を提供する製品として大いに歓迎された。事実、2002年時点でのメルク株式会社の超純水製造装置のマーケットシェアは77.4%(科学機器年鑑2004年版、アールアンドディ社)であり、Milli-Q GradientがHPLC分析を中心に試験研究分野で広く使用された事を物語っている。

 Milli-Q Gradientは、1996年の販売開始以来、モデルチェンジを一度経て、2006年に後継モデルであるMilli-Q Advantageが上市される迄、約10年間に渡り使用されており、現在販売されている超純水装置の雛形と位置付けられる製品である。これらの先駆的な機能を有した純水製造装置Milli-Q Gradientは、日本も含め世界の実験科学全般の発展に多大な貢献を果たした事は歴然とした事実である。よって、その歴史的な価値は液体クロマトグラフィー科学遺産に値するものと認定された。

 なお、認定作業に当たったのは、以下の11名である(◎印:委員長):
伊藤誠治(東ソー)、榎本幹司(栗田工業)、大塚克弘(ムラタ計測器サービス)、岡橋美貴子(病態解析研究所)、橘田 規(日本食品検査)、熊谷浩樹(アジレント・テクノロジー)、小林宣章(東洋合成工業)、小林宏資(信和化工)、竹澤正明(東レリサーチセンター)、◎中村 洋(東京理科大学)、三上博久(島津総合サービス)。


液体クロマトグラフィー研究懇談会・委員長 中村 洋


LC研究懇談会会員で、LC科学遺産候補の推薦を希望される方は、下記の規程(抜粋)及びLC研究懇談会ホームページを参照の上、2021年8月末日迄に推薦書類を提出先にお送り下さい。なお、認定が決定されたLC科学遺産については、第27回LC & LC/MS テクノプラザ(2022年1月を予定)において、当事者から申請内容の概要を発表若しくは展示して戴くと同時に、LC懇の電子ジャーナル「LCとLC/MSの知恵」への投稿を行って戴きます。

第2条 「液体クロマトグラフィー科学遺産」とは、日本における液体クロマトグラフィー(LC)
  の発展にとって、歴史的な観点から顕著な貢献があったと認められるものを指す。
2 「液体クロマトグラフィー科学遺産」は、年度ごとに1件以内を認定する。
3 装置・器具類においては、その動作原理が日本初若しくはそれに準じたものである事、
  又はその性能が従来のものより格段に優れている事を要する。
4 技術・方法においては、従来のものより効率、再現性、操作性などが格段に優れている事を要する。

推薦書類
A4判スペースに横書きで記入した以下の書類(各1通)。
① 推薦理由書、② LC科学遺産候補の名称とその概要、③ LC科学遺産所有者名、④その他、適当と思われる資料(1件)を提出しても良い。
提出先
LC科学遺産認定委員会(電子メールアドレス: nakamura@jsac.or.jp

2020年度

  (公社)日本分析化学会液体クロマトグラフィー研究懇談会は、2018年度より「液体クロマトグラフィー科学遺産」の認定事業を開始し、3年目の本年は8月末日を期限として推薦公募を行った。期日までに提出された推薦書を基に、2020年液体クロマトグラフィー科学遺産認定委員会(9月9日)で審議した結果、清水克敏氏(株式会社日立ハイテクサイエンス)推薦の「835形日立高速アミノ酸分析計」(所有者:株式会社日立ハイテクサイエンス)を液体クロマトグラフィー科学遺産第3号として選出した。2020年度液体クロマトグラフィー研究懇談会第1回オンライン運営委員会(9月19日)及び同・第2回オンライン(メール)運営委員会(10月9日)において、認定委員会委員長より上申された上記結果を審議した結果、これを承認した。

  「液体クロマトグラフィー科学遺産」とは、その認定に関する規定第2条に、「日本における液体クロマトグラフィーの発展にとって、歴史的な観点から顕著な貢献があったと認められるものを指す」と定義されている。認定第3号となった「835形日立高速アミノ酸分析計」は、1977年に発売が開始され、下記に示す新技術、新機能により、我が国における代表的なアミノ酸分析計となった。

  1. 1962年に発売された日本初のアミノ酸分析計日立KLA-2形の遺伝子を受け継ぎつつ、コンパクトな床置き型にデザインを刷新した。
  2. 835形の開発・上市は1977年であり、世界中を騒がせた世に言うニューネッシーをサメの一種であると特定し、印象的なデビューを果たした。
  3. ステンレス鋼カラムを採用し、20 MPa級のHPLC方式高速アミノ酸分析計となった。
  4. ポストカラム誘導体化ニンヒドリン法の反応検出系を最適化する事により、KLA-2形の感度を1000倍向上させた。
  5. 競合製品とは異なるタイプの特色ある陽イオン交換樹脂を用いる事により、高速・高分離化を達成した(タンパク質加水分解物分析法で50分間を実現)。
  6. ワンカラムでの分析、溶離液タイムプログラムを磁気媒体に記録する等の革新性が高く評価され、アミノ酸分析計としての国内シェアは50 %を超えた。
  7. 最先端を目指す開発姿勢は、最新型のLA8080日立高速アミノ酸分析計AminoSAAYAにも継承されている。

 これらの先駆的な機能を有した「835形日立高速アミノ酸分析計」は日本も含め世界のHPLCの発展に多大な影響を与え、液体クロマトグラフィー科学遺産に値するものと認定された。

 なお、認定作業に当たったのは以下の11名である(◎印:委員長):
伊藤誠治(東ソー)、榎本幹司(栗田工業)、大塚克弘(ムラタ計測器サービス)、岡橋美貴子(病態解析研究所)、橘田 規(日本食品検査)、熊谷浩樹(アジレント・テクノロジー)、小林宣章(東洋合成工業)、小林宏資(信和化工)、竹澤正明(東レリサーチセンター)、◎中村 洋(東京理科大学)、三上博久(島津総合サービス)。

液体クロマトグラフィー研究懇談会・委員長 中村 洋


 LC研究懇談会会員で、LC科学遺産候補の推薦を希望される方は、下記の規程(抜粋)およびLC研究懇談会ホームページを参照のうえ、2020年8月末日までに推薦書類を提出先にお送りください。
 なお、認定が決定されたLC科学遺産については、第26回LC & LC/MS テクノプラザ(2021年1月を予定)において、当事者から申請内容の概要を発表若しくは展示していただきます。


第2条
「液体クロマトグラフィー科学遺産」とは、日本における液体クロマトグラフィー(LC)の発展にとって、歴史的な観点から顕著な貢献があったと認められるものを指す。
2 「液体クロマトグラフィー科学遺産」は、年度ごとに1件以内を認定する。
3 装置・器具類においては、その動作原理が日本初若しくはそれに準じたものであること、又はその性能が従来のものより格段に優れていることを要する。
4 技術・方法においては、従来のものより効率、再現性、操作性などが格段に優れていることを要する。


推薦書類
A4判用紙に横書きで記入した以下の書類(正各1通、副各11通)。
①推薦理由書、② LC科学遺産候補の名称とその概要、③ LC科学遺産所有者名、④その他、適当と思われる資料等。
提出先
〒141-0031 東京都品川区西五反田1-26-2五反田西ハイツ304号
(公社)日本分析化学会 LC研究懇談会 LC科学遺産認定委員会
TEL:03-3490-3351

2019年度


 (公社)日本分析化学会液体クロマトグラフィー研究懇談会は、2018年度より「液体クロマトグラフィー科学遺産」の認定事業を開始し、2年目の本年は8月末日を期限として推薦公募を行った。
 期日までに提出された推薦書を基に、2019年液体クロマトグラフィー科学遺産認定委員会で審議した結果、熊谷浩樹氏(アジレント・テクノロジー株式会社)推薦の「HP/Agilent 1100シリーズHPLC」(所有者:アジレント・テクノロジー株式会社)が液体クロマトグラフィー科学遺産第2号として認定され、9月25日開催の液体クロマトグラフィー研究懇談会第6回運営委員会において承認された。

「液体クロマトグラフィー科学遺産」とは、その認定に関する規定第2条に、「日本における液体クロマトグラフィーの発展にとって、歴史的な観点から顕著な貢献があったと認められるものを指す」と定義されている。
 認定第2号となった「HP/Agilent 1100シリーズHPLC」は、1995年に発売が開始され、バリデーションサポート機能をはじめとする数々の新技術、新機能が盛り込まれ、多くのHPLCユーザーに信頼性と利便性に優れたHPLC分析を提供した。全世界で60,000モジュール超を販売するベストセラーとなり、その後のHPLCシステムの開発にも影響を与えた。
 HP/Agilent 1100シリーズの主な新技術、新機能は次の通りである(1.~6.は汎用LC、7.はキャピラリーLC)。

  1. ハードウェアのバリデーション(OQ、PQ)サポート機能により、ユーザーによるバリデーションを実現した
  2. 消耗品の使用状態を管理し交換時期を告知することにより、装置状態の適切な維持を可能とした
  3. ハードウェアの自動テスト機能により、ユーザーによるハードウェアの状態の把握および不具合原因の特定を可能とした
  4. グラフィカルユーザーインターフェース採用のワークステーションにより、直感的で分かりやすい操作を実現した
  5. 高感度フォトダイオードアレイ(PDA)検出器の高感度化に成功し、PDA検出器を普及させた
  6. オンラインスペクトル採取および多波長励起・蛍光が可能な蛍光検出器を開発し、蛍光スペクトル照合によるピーク同定を可能とした
  7. フローセンサーにより実流量を計測、フードバックする電磁制御スプリッターを開発し、流量精度の高いキャピラリーHPLCシステムを実現した

このように、今日のHPLC、UHPLCシステムで標準的機能と認識されている機能のいくつかは、HP/Agilent 1100シリーズで実現されたものである。
 また、PDAの高感度化やFLDのオンラインスペクトル採取、実流量フィードバック制御によるキャピラリーLCなどは、開発当時の最先端技術を駆使して、HPLCの新しい可能性を切り開いたと言える。
 これらの先駆的な機能を有した「HP/Agilent 1100シリーズHPLC」は日本も含め世界のHPLCの発展に多大な影響を与え、液体クロマトグラフィー科学遺産に値するものと認定された。

なお、認定作業に当たったのは以下の7名である(◎印:認定委員長):
伊藤誠治(東ソー)、大塚克弘(総合環境分析)、岡橋美貴子(病態解析研究所)、橘田 規(日本食品検査)、小林宣章(東洋合成工業)、◎中村 洋(東京理科大学)、三上博久(島津総合サービス)。

2019年10月3日
液体クロマトグラフィー研究懇談会委員長 中村 洋


 LC研究懇談会会員で、LC科学遺産候補の推薦を希望される方は、下記の規程(抜粋)およびLC研究懇談会ホームページを参照のうえ、2019年8月末日までに推薦書類を提出先にお送りください。
 なお、認定が決定されたLC科学遺産については、第25回LC & LC/MS テクノプラザ(2020年1月を予定)において、当事者から申請内容の概要を発表若しくは展示していただきます。

第2条
「液体クロマトグラフィー科学遺産」とは、日本における液体クロマトグラフィー(LC)の発展にとって、歴史的な観点から顕著な貢献があったと認められるものを指す。
2 「液体クロマトグラフィー科学遺産」は、年度ごとに1件以内を認定する。
3 装置・器具類においては、その動作原理が日本初若しくはそれに準じたものであること、又はその性能が従来のものより格段に優れていることを要する。
4 技術・方法においては、従来のものより効率、再現性、操作性などが格段に優れていることを要する。


推薦書類
A4判用紙に横書きで記入した以下の書類(正各1通、副各11通)。
①推薦理由書、② LC科学遺産候補の概要、③ LC科学遺産所有者名、④その他、適当と思われる資料等。
提出先
〒141-0031 東京都品川区西五反田1-26-2五反田西ハイツ304号
(公社)日本分析化学会 LC研究懇談会 LC科学遺産認定委員会
TEL:03-3490-3351

2018年度


 日本分析化学会液体クロマトグラフィー研究懇談会では、2018年度より「液体クロマトグラフィー科学遺産」を認定する事となり、本年2月より9月末まで科学遺産候補の推薦公募を行った。期日までに提出された推薦書を基に、2018年液体クロマトグラフィー科学遺産認定委員会で審議した結果、「高速液体クロマトグラフLC-10Aシリーズ」(所有者:株式会社島津製作所分析計測事業部)が液体クロマトグラフィー科学遺産第1号として認定され、10月30日開催の液体クロマトグラフィー研究懇談会第7回運営委員会で承認された。

「液体クロマトグラフィー科学遺産」とは、その認定に関する規定第2条に、「日本における液体クロマトグラフィーの発展にとって、歴史的な観点から顕著な貢献があったと認められるものを指す」と定義されている。
認定第1号となった「高速液体クロマトグラフLC-10Aシリーズ」は、1991年2月に株式会社島津製作所が上市した一連のHPLC装置及び付属装置群であり、当時の最新技術を駆使する事により、先進のデザインコンセプト、世界初の光ファイバーコミュニケーション、独自のミクロプランジャー送液技術、最高の低ノイズレベル性能,世界初の2波長同時測定機能と温調セルなど数々の特徴を有していた。LC-10Aシリーズは、その最新技術、革新技術により、HPLCの応用分野における分析の品質及びデータの信頼性向上に顕著な貢献し、以後のHPLC装置開発の方向性に影響を与え、その発展に大きく寄与したと認められた。
なお、認定作業に当たったのは以下の5名である(◎印:委員長)。岡橋美貴子(病態解析研究所)、加藤尚志(バイオタージ・ジャパン)、竹澤正明(東レリサーチセンター)、◎中村 洋(東京理科大学)、三上博久(島津総合サービス)

液体クロマトグラフィー研究懇談会


 この度、液体クロマトグラフィー(LC)研究懇談会はLC科学遺産を認定することとなりました。
 LC研究懇談会会員で、LC科学遺産候補の推薦を希望される方は、下記の規程(抜粋)およびLC研究懇談会ホームページを参照のうえ、2018年9月末日までに推薦書類を提出先にお送りください。
 なお、認定が決定されたLC科学遺産については、第24回LC & LC/MS テクノプラザ(2019年1月を予定)において、当事者から申請内容の概要を発表若しくは展示していただきます。

第2条「液体クロマトグラフィー科学遺産」とは、日本における液体クロマトグラフィー
 (LC)の発展にとって、歴史的な観点から顕著な貢献があったと認められるものを指す。
 「液体クロマトグラフィー科学遺産」は、年度ごとに1件以内を認定する。
 装置・器具類においては、その動作原理が日本初若しくはそれに準じたものである
 こと、又はその性能が従来のものより格段に優れていることを要する。
 技術・方法においては、従来のものより効率、再現性、操作性などが格段に優れて
 いることを要する。




推薦書類
A4判用紙に横書きで記入した以下の書類(正各1通、副各11通)。
① 推薦理由書、② LC科学遺産候補の概要、③ LC科学遺産所有者名、④その他、適当と思われる資料等。
提出先
〒141-0031 東京都品川区西五反田1-26-2五反田西ハイツ304号
(公社)日本分析化学会 LC研究懇談会 LC科学遺産認定委員会
TEL:03-3490-3351

「液体クロマトグラフィー科学遺産」認定に関する規程


(設置)
第1条 (公社)日本分析化学会液体クロマトグラフィー研究懇談会(以下、LC懇)に「液体クロマト
         グラフィー科学遺産」認定委員会(以下、認定委員会)を設置する。
2      認定委員会の運営については、LC懇内規による。

(定義及び認定対象)
第2条 「液体クロマトグラフィー科学遺産」とは、日本における液体クロマトグラフィー(LC)の
         発展にとって、歴史的な観点から顕著な貢献があったと認められるものを指す。
2      「液体クロマトグラフィー科学遺産」は、年度ごとに1件以内を認定する。
3      装置・器具類においては、その動作原理が日本初若しくはそれに準じたものであること、
         又はその性能が従来のものより格段に優れていることを要する。
4      技術・方法においては、従来のものより効率、再現性、操作性などが格段に優れていることを
         要する。

(帰属)
第3条 「液体クロマトグラフィー科学遺産」候補の帰属は、LC懇の団体会員若しくは個人会員で
         なければならない。

(推薦)
第4条 「液体クロマトグラフィー科学遺産」候補の推薦は、LC懇の個人会員若しくは団体会員が
         行う。

(認定及び公告)
第5条 認定委員会は、「液体クロマトグラフィー科学遺産」授賞候補の募集記事を作成すると共に、
         推薦があった候補、又は自らの候補につき、「液体クロマトグラフィー科学遺産」としての
         適否を判断し、10月末日までにその審議結果をLC懇委員長に報告する。
2      LC懇委員長は、認定委員会の審議結果を11月のLC懇運営委員会に諮り、承認を得る。
3      「液体クロマトグラフィー科学遺産」として認定が決定された案件は、LC懇のホームページ
         などを通じて公告する。
4      「液体クロマトグラフィー科学遺産」として認定が決定された申請者は、LC & LC/MS テクノ
         プラザにおいて申請内容の概要を発表若しくは展示しなければならない。

附則
2017年12月12日 原案作成(中村 洋)
2017年12月20日 2017年度第9回運営委員会承認・施行