現在、(公社)日本分析化学会(JSAC)・液体クロマトグラフィー(LC)研究懇談会には、様々な褒章制度が設けられている。例えば、CERIクロマトグラフィー分析賞、LC努力賞、LC科学遺産認定、優良企業認定、ベストオーガナイザー賞、最優秀一般会員賞、等々である。これらは、例会への参加回数を競う最優秀一般会員賞を除けば、全てLC、LC/MSなどの研究発表に対する褒賞である。所が、LC研究懇談会の多彩な事業を維持して行く為には、研究面における貢献に加え、運営そのものを支える貢献が不可欠である。従って、LC研究懇談会の更なる発展を目指すには、研究面に加え、非研究面からLC研究懇談会の運営に大きな貢献が有った場合にも、その労苦に報いる褒賞を用意しておく必要がある。POTY(Person Of The Year)賞は、この様な考えから生まれた褒章制度であり、2021年度第6回運営委員会(2021年9月28日)でその創設が承認された。本賞の授賞精神は、以下の規定に表現されている。

  1. POTY賞はLC研究懇談会の発展に大きく貢献した者に授与する。
  2. CERIクロマトグラフィー分析賞並びにLC努力賞の受賞者を授与の対象としない。


 さて、第1回目のPOTY賞受賞候補者の推薦に関する会告は、JSACの機関誌「ぶんせき」誌とLC研究懇談会のホームページに掲載され(推薦締め切り12月5日)、12月7日に選考委員会がZoomウェビナーにより開催された。その結果、三上博久氏(株式会社島津総合サービス)により推薦された小林宣章氏(東洋合成工業株式会社)が、9名の参加選考委員により満場一致で授賞候補者として選考された。この選考結果は12月14日に開催された2021年度第9回運営委員会で協議され、小林氏への授賞が正式に承認された。授賞題目は「LC研究懇談会各種事業のリモート開催への貢献」である。以下、授賞対象となった小林氏の業績紹介に先立ち、POTY賞創設の背景を概説しておく。

 2019年の12月、武漢で第1報が報告された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、2020年度(3月1日~2021年2月28日)の全ての例会(第345回~第351回)が見学会などと共に中止に追い込まれた。LC研究懇談会の個人会員・団体会員から会費を戴いている以上、無策は許されない。会員諸氏へ少しでも情報をお伝えする手段として、2020年の6月6日に電子ジャーナル「LCとLC/MSの知恵」の創刊を機関決定し、一気呵成に12月15日に創刊号を発行する事が出来た。本電子ジャーナルは12月15日と6月15日に定期発行する事としたが、8月を除いて月ごとに開催していた年12回の例会(9月はJSAC年会開催時のLC研究懇談会講演会を例会扱いとしているので、9月の例会は2回)分の情報量には及ぶべくもない。

 その為、コロナ禍の影響が甚大となった頃、オンラインで例会を開催する可能性を内々に検討していた。この方面の情報に明るい、JSAC事務局の三浦隆志職員に相談した所、彼のお子さんが通っている幼稚園で使用している、Googleを利用する参加申込方法を紹介された。しかし、当時の私はGoogleを使用した経験が無かった為、アカウントを取る所から始めなければならず、時間を掛けられない事も手伝い、ちょっと試しては頓挫する事を数日に渡って繰り返し、結局そのままにしてしまう体たらくであった。そこで、最年少の運営委員でWebツールに長けていそうに思えた小林宣章氏に全てを託した。即ち、リモート例会に適したツールの選別(Zoomウェビナー)を手始めに、講演者用SOP、オーガナイザー用SOP、一般視聴者用SOPの作成を依頼し、それらを整備して貰った。この見事な実績に基づき、小林氏を小委員長とするWeb対応小委員会の創設が2020年度第3回運営委員会(5月28日)で承認された。

 この様な経緯を経て、小林宣章氏の絶大な尽力で2021年度の運営委員会、例会、査読会、更にはJSAC関東支部主催機器分析講習会第2コース「HPLCとLC/MSの基礎」(リモート講習会)が滞りなく開催出来た。以上述べた、Webツールを活用した諸々の事業展開は、偏に小林氏の尽力無くしては果たせなかったものであり、50年に垂んとするLC研究懇談会の歴史において特筆すべき軌跡となった。小林氏は有機合成化学分野で博士号を取得した身でありながら、分離科学に比重を置くLC研究懇談会の発展に大きな貢献を果たした。この特異な業績は、創設されたPOTY賞の趣旨に副う顕著な内容であり、選考委員会及び運営委員会の双方において、その最初の授賞者として誠に相応しい人物と判断された。

LC研究懇談会・委員長 中村 洋


 液体クロマトグラフィー(LC)研究懇談会は、2021年POTY(Person of The Year)賞受賞候補者の推薦を受け付けております。POTY賞はLC研究懇談会の発展に大きく貢献した者に授与しますが(年度1件以内)、CERIクロマトグラフィー分析賞並びに液体クロマトグラフィー努力賞の受賞者を授与の対象としません。
推薦を希望される方は、下記2点に留意され、資料を電子ファイル(1ファイル)で提出して下さい。

  1. 受賞者の年齢は問わないが、LC研究懇談会の会員である事が望ましい。
  2. 推薦者(または自薦者)は、LC研究懇談会の個人会員とする。
提出資料
推薦者は、A4判サイズに横書きで記入した以下の➀~③3の資料を、
2021年12月5日までに下記提出先に電子メールで送付する。
➀履歴書(生年月日及び高校卒業以後の履歴)、②推薦理由書、③貢献業績名(40字以内)及びその概要。
資料提出先
POTY賞係
電子メールアドレス:nakamura@jsac.or.jp